第百四十九話:連合LS・麒麟戦

ついに・・・・ついにこの日がやってきた。自分たちには縁のない相手だと思っていた時もあった。トリガーの印章が揃った時も、「挑戦権を得ただけにすぎない」と思っていた。勝てるわけない相手、そう思っていた。

4神をすべて倒したら挑戦権を得る事のできる敵、麒麟。それはフルアライアンスでも倒す事は難しい、と言われている強敵である。LBJが麒麟への挑戦権を得た日から、「お互いが挑戦権を得たら、是非一緒に討伐しよう!」と夢物語のように語っていたLSがあった。それが、お友達であるPisaloさん率いるLSだった。

彼は普段つけているLSと、土曜日だけ活動するHNMLSの2つを率いるリーダーである。毎週土曜日は色々なNMにチャレンジし、経験を積んでいる、非常に頼もしい味方なのである。そして、そのPisaloさんから「麒麟、準備完了」のお知らせが舞い込んできたのがついこの間の事だった。

時を同じくして、ヴァナディールに新しい真龍3種類が追加された日でもあった。LBJではこの真龍は、「関係ない相手ナンバーワン」だった。LSでは「ランペールの奥にジョブ別の武器を落とす新しいNMがいるらしい。ソロでしか戦えないBC方式で、倒すとEXRAREの素敵な武器が手に入る」という、一体誰が思いついたんだ!というウソでメンバーを騙し、やる気マンマンでランペールに行ったメンバーは、新しく追加された真龍「ヴリトラ」と遭遇するハメとなる、という遊びが流行っていた。意気揚々とPT単位の人数が騙され、ランペールへ⇒え?どこ?⇒ドアの奥⇒真龍発見⇒騙したな!⇒でもいいや!特攻だ〜⇒アヒャーー( ´∀`)  こんな事ばっかり繰り返していた。

そんな相手、真龍でさえ、Pisaloさんは「最初は勝てないだろうけど、何度も挑んだら勝てるかも。今は放置されてるみたいだし、一緒に挑戦しない?」と本気で持ちかけてくるほど、あちこちのNMで経験を積んでいる相手なのだ。

そしてLBJリーダーPorojrとPisaloさんの間で日程の計画が練られ、運命の日、10月30日に麒麟へ挑む事が決まった。予定は麒麟2戦。アイテムはトリガーを出した方のLSががそれぞれ取る。どちらかが負けてどちらかが勝つかもしれないが、それはしょうがない。とにかく全力で挑む!と言う事で決定がくだされた。

数日前からLSメッセに発表され、みんなドキドキしながらその日を待った。チョロは「本当にやるんだ・・・勝算あるのかな?」と正直思っていた。なぜなら・・・

麒麟は、そのトリガーを取るまでに倒す4匹の聖獣を次々と召喚する、というのだ。ということは、麒麟本体とも戦いながら、あの白虎や青龍もでてくるんでしょ?でてきちゃうんでしょ?んなアホナ!!!!と思っていたのだ。

そして当日、チョロは基本装備+着替えの全ての装備と、14個分のヤグドリの材料。金魚すくいの残りのクリアドロップ、そしてどこで手に入れたのか全く解らないバイルエリクサー+1等の、考えられる効果的な薬を持てるだけ持って、空へ向かった。

23時集合、の空には、すでに大勢の人が集まっていた。LSイベントでは時間にややルーズなところがあるLBJも、この日ばかりは、合同開催ということで時間厳守を厳しく言い渡していた。

18名以上の人数で挑む事となるので、昔、裏世界が実装された時に「友達呼んでいってみっかー」と作ったLS:LOSTexpを全員に配り、みんなが見える会話を確保した。

ところが・・・・相手のLSのボスであるPisaloさんが、なんと体調を崩し、本日の参加が不可能になった、という大事件が舞い込んできたのだ。トリガーの印章を持っているのも彼であり、なんと、今日はLBJだけが挑む事となってしまったのだ。それまでは「2戦あるし、どっちか勝てるよね!」とタカをくくっていたLBJメンバーは驚いた。いきなりの展開にテンパり、騒然となった。そして「Pisaloさんチームが行く時は必ず駆けつけますから!」と約束し、本日はPisaloさんチームは完全なる御手伝いとなり、麒麟に挑む事となったのだった。

まずは麒麟をポップさせる広場へ行かなくてはならない。4神と違って、複雑な神殿のワープを乗り越えていくので、大変である。しかも、ワープのいくつかは、行き先がランダムとなっていて、ハズレを引くと、何度もやり直さなくてはいけない、という何のためにこうしたのかわからないシステムなのだ。神殿の中のワープがランダムなのは、冒険としては面白いけど、目的がある広場へ行く寸前のワープまでもがランダムとは・・・・そこは固定でいいじゃん!と思った。

そして、よく「ワープハズれて5周もさせられたわ・・・」とかいう愚痴を、麒麟と戦った事のあるフレンドから聞いたりしていたが、今回、最後までワープで当たりを引けなかった勇者、Tokiwaは・・・

1  3  回  ワ  ー  プ  を  ハ  ズ  レ  た  ヽ(´Д `;)ノ

軽く1時間くらいはそこで時間を費やし、最初にPisaloさんの体調不良の連絡がつくまで待っていた時間も含めると、2時間以上がすぎていた。家の都合で残念ながら落ちなくてはいけない人もでてしまったほどである・・・。待っているほうは、ただ待つだけだが、何度もハズれて必死でやりなおしたTokiwaの精神的ダメージを考えると、本当に切なかった。最後に麒麟広場にTokiwaが現れた時は、まるで麒麟に勝利したかのような感動さえあった。

そしていよいよ、麒麟に挑む事となった。作戦は

●トリガーを出すLS(LBJ)のアラから2PT、麒麟のマラソンPTを作る。
●それ以外のLBJメンバー+Pisaloチームで、召喚する4匹の聖獣をしとめる
●聖獣はアイテムも出さないので、救援で倒す
●麒麟のタゲを持っているアラが救援をだすと、麒麟にも救援がでるので、聖獣アラの方が必ず先にタゲをとり救援を出す。
●4匹の聖獣を倒し終わったら、麒麟アラの死者をドンドン入れ替える作戦で麒麟に全力を尽くす。

と言うものだった。なんせ初陣である。「麒麟はオートリジェネがあるらしいけど、MPがなくなるとその機能もなくなるらしい」等の「聞いた噂」も飛び交っていたが、初めてなので、やってみないとわからない。麒麟は広場の北側で、聖獣は南側で戦う、という事になった。衰弱している人が集まる場所も決めた。そして、いよいよ決戦の火蓋はきって落とされた。

Porojrがトリガーをトレードする。颯爽と現れたマンティk・・・・・・・・・・・・・・・・麒麟・・・・。
もうグラについては何も語るまい。沸かせた人はターゲットされている訳で、Porojrはガルカなのに、いきなり一撃で黄色に・・・。恐ろしい攻撃力である。

4匹の聖獣を倒すまでは、麒麟はマラソンする、と決めていたので、マラソンチームが走り出した。なかなか召喚しないな・・・・そう思っていた矢先に、最初の聖獣が現れた。

「朱雀でましたーーーーーーーーーーーーーー」

朱雀・・・朱雀、鳥か!えっと、なんだっけ水が弱点のやつだっけ・・・
テンパるチョロ。興奮しすぎてブリストもリレイズもかけていない。あほか!慌ててかけて朱雀に走っていく。そう、言うのを忘れていたけど、チョロは聖獣担当チームだったのだ。しかも、PTから外れていて、一人希望をだしながら、救援がでた朱雀に向かって水系精霊をぶっぱなした。みんなのHPバーが見えないから、ケアルが難しい。そんなこんなでモガモガしているうちに、結構あっさり朱雀は倒れた。麒麟の召喚する聖獣は、HPが本物よりも少ないらしい。こりゃ助かった。

次の召喚までにMPを戻さないと・・・待機ポイントにいってヒーリングしていると

「召喚クルヨーーーー」
「次でました〜〜〜〜青龍〜〜〜青龍〜〜〜」

ブレス一撃死の悪夢がよみがえる青龍の登場である。絶対にブレスを食らってなるものか!と必死でよけながら戦った。救援だから、ちゃんと攻撃できるのがいい。参加希望マークがでている、というのがちょっとアレだけど、ブレスも食らわず、これまたアッサリ青龍は死んだ。

う〜ん、Pisaloチーム、動きがすごい。慣れている、というか的確、というか、さすがNM慣れしているな、と思ってみていた。LBJが手伝いにくるとき、こんなにアッサリ倒せるだろうか・・・という不安がよぎった。

青龍で思いのほかMPを消費したので、持ってきたジュースを飲もうとアイテム欄を開いて愕然とした。あんなに材料持ってきたのに、元々完成していた2本以外、ジュース絞るの忘れてるじゃん・・・・・・。でも、でも、今合成するって雰囲気じゃないよ!!!死んだら衰弱待ちを利用して絞ろう・・・・あまりにも興奮しすぎ、段取り悪すぎの自分に嫌気がさしながらジュースを1本飲んで座っていたら、とうとうアイツが出てしまった。

「白虎さんご案内〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

コイツである。コイツと麒麟を同時に戦う、というのがチョロには信じられなかった。LBJは連続魔スタンを利用して倒したけど、今回はどうするか・・・・聖獣はPisaloチームにまかせてあったので、そのやり方を見てそれを補助しよう、と思った。

さすが白虎、盾が次々と死んでいく。倒すのが遅くなると、まだ聖獣が残っているうちに次の聖獣を召喚されてしまうらしい。白虎には魔法が通らなかったイメージがあるから、タゲれる限りの相手のHPバーをチェックして、可能な限りのケアルを行った。何名かの死亡のログが流れたけど、かなり速やかに白虎も倒す事ができた。

残るはこの間安定して倒せた玄武である。

「ラストーーー」

玄武が登場し、回線落ちしてしまっていた相手LSのナイトさんも戻ってきて、全員揃った状態で麒麟へ突撃することができた。

ちなみに、となりの画面では、Porojrがマラソンチームとして麒麟を相手にしていたが、必死すぎて全然見ることができなかった。「朱雀死んだよーー」とか「白虎やったどー」とか、となりで必死で歌っているPorojrに教えていた。

玄武との戦いの最後の方で、チョロはとうとうPTに誘われた。ここからは、1アライアンスでしか挑めない。MPがカツカツだったので、「MP戻るまでもう少しマラソンしてほしい」とマラソンチームに伝え、ヒーリングに入った。

ここからの計画は、オートリジェネがなくなる(本当に?)まではマラソンしつつ遠隔、精霊、召喚攻撃でやろう、という事になっていた。ので、チョロはMPを戻しては精霊を撃ちに行く、という行動を繰り返していた。相手LSのみなさんも「ここからはまかせたーーー」「がんばれーーー」とすっかり応援モードだった。戦闘前の作戦会議で、Porojrが「4匹の聖獣倒せたら、もう勝ったも同然ってフレから聞いた〜」と発言していたので、みんなぶっちゃけ、もう勝ったつもりでホっとしていた。しかし、相手は麒麟。4神を束ねし者、と自分で言っちゃってるヤツである。一筋縄ではいかないのが当然だった。そのフレは相当手馴れている人だったのか、ちょっと「余裕」と感じる度合いが普通じゃないのか・・・・とにかくここからこそが壮絶な戦いだったのである。

まず・・・・・・・・・・・・・

全 然 削 れ な い (´・ω・`)

気のせいかしら?というくらいたま〜〜〜にHPが減った気がする時もあったが、あっという間に戻ってしまう。ものすごいオートリジェネなのである。延々とマラソンしながら遠隔等で削るものの、「このままずっとループ?衰弱が増えて戦力が追いつかなくなってジリジリ負けるの?」というくらい意味がなくみえる状態が続いていた。かれこれ40分くらいそういう状態が続いたろうか。MPがなくなったらオートリジェネがなくなる、という噂を聞いたが、まだMPなくならないの・・・?ガー魔法とか撃たせたほうがいいのか?など、みんな不安でいっぱいだった。

そもそもガチ大好きのLBJがマラソン作戦に精神的に耐えられる時間なんてしれている。40分なんて、よく我慢したものだ、と思った。
「ガチのがいいんじゃない?」
「忍者メインでガチいく?」
「ガチる?」
「ガチらないと削れない気がする」

丸出しの意見がでだし、そういう方向で編成していこうか、となってきた。死者もでていて、応援ムードだった相手LSのみなさんも、どんどん参加してもらわないと全然戦力が足りなかった。いける人は希望をだして、LS会話でジョブを申告した。そしてその頃、チョロは本当に不安になり、麒麟経験者であるフレンドにtellしてみた。

C「ねえ、麒麟のオートリジェネってMPなくなったら消えるって本当なの?」
「うん、ほんまやで〜」
C「どんくらいでMPなくなるの?」
「慣れないうちは1〜2時間かな?」

!!!

C「そ、そなんだ。慣れるとどうしてるの?」
「ストーン系だけうたせて、空蝉で避ける。これでけっこう早くMPなくなるでー」
「あとは危険な方法だけど、赤もHPブースト、ブリストファラしてガーも撃たせて一緒に受ける、とかね〜」

うへ・・・

C「そっかーありがとう!」
「オートリジェネは完全にはなくならないけど、MP尽きたら明らかに性能落ちるよ。困らない程度になる。あとはヒーラーのMP切らさんようにがんばれ〜」
C「ありがとう!」

確かな情報をゲットしたチョロは(事前に聞いとけ)不安でいっぱいになっているみんなに、今聞いたことを報告した。この削っても削っても・・・の状況が永遠ではない、とわかった一同のモチベーションは再度ヒートアップした。

しかし・・・「慣れないうちは1〜2時間やで〜」この言葉を聞いて、チョロは、こういう相手との経験のなさを実感した。1時間も2時間も1匹と戦うなんて・・・・しかもそれが前座だなんて・・・・40分程度でソワソワしていたLBJは、いかに慣れていないか、の典型だった。でも、仕方ないじゃない!だって沸き待ちできないLSなんだもん!

そうこうしているウチに、麒麟のHPが明らかに減りだした。でも、まだ魔法を撃っている。残りMPに比例してオートリジェネの性能が決まる様子である。

長期戦の戦いは入れ替えも激しく、リーダーを持っている人は、本当に忙しく、大変そうだった。それでも順調に少しずつ少しずつHPが減っていく。そして、とうとう麒麟の2hアビ、アストラルフロウが炸裂した。エレメンタルを召喚し、そのエレメンタルがダイヤモンドダストを放ったのだ。

これをくらった数名が、即死し、大慌てのメンバー入れ替えが行われた。そして明らかにオートリジェネの性能が落ちていた。アストラルフロウでMPを全部使った、という事なのだろうな、とみんなで言い合った。

ここからは、精神力との戦い、と言っても過言ではなかった。

PT外から超強力な貢献ができてしまう白魔道士は、PTに入れず、悲しかっただろう・・・。外からのケアルは難しい。とても難しいはずなのに、的確にヒールを繰り返し、誰かが死んだら颯爽と駆け寄り、お互いのMPは見えていないはずなのに、ちゃんとMPを確保し続ける。ヒーラーのMPが尽きる時が終わるときである。そして、そうはならなかった。その貢献度は計り知れなかった。

スピリッツウイズインを撃ってはPTを抜け、黙想を繰り返しTP300になると、再度希望をだしてコールする侍&サポ侍の前衛たち。メイン侍の回転率はすさまじく、WSを放つと必ずターゲットをとってしまっていた。確実にHPの半分のダメージを与えるスピリッツウィズインは、とても頼もしい火力だった。

まさに死にながら矢を撃つ狩人。その攻撃力はすさまじく、何度も真っ赤になってははがしてもらい、時期をみてPTに戻る。死亡によるヘイトリセットを平気で使いながら戦うその姿に感動した、。

その狩人へ命中の歌を、散らばってしまっている魔道士をみつけ駆け寄ってはバラードを、本当は「こういう風に位置どりしてよ!」と叫びたいだろうに、黙って黙々と歌いつズける吟遊詩人。歌のヘイトも案外高く、動き方も難しかっただろうに、一言の文句も言わず歌い続ける姿は、まさに支援役の鏡、だと思った。

聖獣で非常に活躍できるサポ忍だけど、麒麟相手だとサポ侍がいい。聖獣と麒麟と同時に戦うこの戦いでは、どちらも必要なサポであり、どちらも必要な役である。でも、麒麟のみの段階に入ってからは、サポ侍以外の前衛は、非常に辛そうだった。それでも、万が一の盾役のかわりになるためにスタンバイし続ける前衛たちがいる、という事実は本当に心強いものだった。

MPが尽きるまで精霊を撃ちつくし、なくなったらPTを抜けてヒーリング、これを繰り返す黒、赤魔道士達。赤魔道士にはリフレという仕事もあり、忙しく駆け回っていた。チョロはこの軍団にはいっていたのだけど、ターゲットを取ったら縦横無尽に走り回り、前方範囲を食らわないように、ひと時もじっとしていないチョロに、その時のPTの赤魔道士が、いつの間にかリフレをくれている。みんなが自分のできることを精一杯やっているんだな・・・と再確認したと同時に、せめて自分から探してそばに行くくらいの配慮が必要だった、と反省した。

MPが尽きたのでPTを抜けて、はじっこにヒーリングしにいったら、その壁際でDekuがひたすら昏睡薬を飲んでいた。彼はシーフでサポ忍者の為、これでTPを貯めてスピリッツを打ち込みに行っていたのだ。決して安くはないその薬をガブのみしながらWSを打ち込みに行くのを見て、驚いた。トレハンだけでも価値あるジョブなのに、こんな方法で、自分のできる限りの貢献をしているのか・・・。しかし、周りをよく見たら、サポ侍ではない、または出来ない前衛ジョブの数名が、衰弱待機通路やすみっこの陰で、ひたすら昏睡薬を飲んでいる。首にはもちろんピンクのネックレスがついていた。盾をやっている相手LSのナイト2名も、盾をしながら、死んでしまったら衰弱通路で回復を待ちながら昏睡薬を飲み続け、復活すると同時にTP300%になっている。復活と同時にターゲットをとれる、という事なのか!ナイトまでもが昏睡薬を用意している、という事実に、驚いたと共に、こんなに頼もしい味方を得れた事に本当に感謝した。

PTを抜けることなく、ひたすら前線で挑発を繰り返す盾役達。盾仲間の誰かが死んだら次は俺だ、と言わんばかりに、盾役同士でヘイト行動を繰り返し、ターゲットをキープしている。一人以外は横に立ち、前方範囲を避けながら、ひたすら盾に徹する。それでも死亡でリセットされてしまうヘイトに四苦八苦しながら敵の真正面に立ち続ける姿はハタからみていてもカッコよかった。

死んだ人が衰弱待ちで集う場所。そこにも素晴らしい人材がひっそりとたたずんでいた。それはドリンクバーだった。衰弱待ち、MP待ちの人をドンドンPTに入れて、強化、リフレを配り続ける赤魔道士。麒麟の姿を拝む事もほとんどないその場所で、ひたすら支援役に徹してくれている。こういう人の存在が、PTの底力をあげているんだな、と。そしてこういう役に徹する人、というのは本当に貴重で、そしてとても勉強になった。

麒麟の残りHPがあとわずかとなり、状態も安定して、もう絶対に倒せる。あと一息だ!と確実になった瞬間、たちあがったシーフがいた。今までは衰弱待ち通路や、少し前にでた場所で、ジっとジっと我慢し続け、一言もしゃべらず見守り続けてきた彼が、突然発言した。「PTいれてください。トレハンの為に」
時間もとても遅くなってしまっていて、もう明け方だった。普通なら寝落ちしてしまうはず、そんな状況だった。そんな中、PT外から何時間も見守り続け、最後のその時のためにずっと耐えていたその彼の行動に、Porojrとチョロは画面の外側で驚愕した。正直、寝ているかと思った・・・でも、このためにずっとずっと見守っていてくれたんだね。と、本当に驚いて感動した。麒麟の段階にはいって、戦力となれない、と思った時、それを悲観するのでなく、自分が貢献できるその瞬間までジっと耐えてきたそのシーフを、すごいと思った。

そして、盗賊のナイフを従えた二人のシーフをPTに入れて、最後の追い込みにかかった。チョロも10分置きに印を使って放つ精霊以外はレジレジだったけど、最後の力を振り絞って魔法を撃ちに行った。最後のMPを使った印エアロガ3を放った瞬間、チョロの状態異常アイコンにバインドマークが点灯し、そして次の瞬間には死んでいた。今までも何度もバインドをくらって殴られていたけど、1回訳のわからない攻撃で2172、という有り得ないダメージを食らった以外は、ブリストで避けて耐えながら走り回ってずっと生き延びていたのに・・・・。今回は、もう追い込みだ、と再興奮アドレナリンが上昇して、またもやブリストを忘れていた・・・。死者はすぐにキックするシステムだったので、すぐにPT外になり、今回はリレイズさえも切れてしまっていたのでレイズをしてもらって、固唾を飲んで見守っていた。

そして開始から何時間たったろう・・・3時間は確実に越えていたはず。LBJ+Pisaloチーム、まさかの麒麟、初陣勝利をもぎとったのである!!!!!

そして、そしてなんとドロップ品に、LBJ念願の光布が!!!!!!!!!!!

その他にも、麒麟棍というのがでて、これにロット希望していたチョロとKujyaの二人のロットで、なんとチョロが900台を出し、貰う事になった。両手棍でありながら、INTとMNDが+10もあり、MPとHPも20ずつ増える、というお得な物で、しかもD値が強い。雑魚狩りのため、と言うにはあまりにも贅沢品だけど、少しは雑魚狩りも楽になるな、と思った。チョロは属性杖を全種類持っているわけじゃないので、持っていない杖の属性の敵で、レジストされない、と予想できる敵には、とてもいいものだ、と思った。これは人に貸したりできるので、場面場面で、必要な人で有効活用していきたい。まぁ、それ以前に、レベルをあげないと自分は装備できなかった・・・・(´・ω・`)

こうして、戦いは終わった。余韻に浸りみんなボーっとしていた。こんな長時間の戦闘は初めてだった。でも、この経験はLBJにとって、とても大きな経験値となった。倒した時にアライアンスに入っていた人は、キリンなんとかかんとか、という称号を手に入れていた。チョロは称号にこだわる派ではないので、倒した時にPT外だったことに悔いはないけど、なにやらセリフを吐いたらしいので、それは聞きたかったな、と思った。倒した時PTにいたくせにPorojrはチョロにそれを教えてくれなかった!まぁ、本人も興奮していたんだろう、と解釈しておこう。出てきたときもなにやらセリフを吐いたらしいのだけど、その時もPT外だったから見えなくて、次は絶対みてやる!と心に決めた。

用意している時点で、こうなるんじゃないかな、とは思っていたけど、せっかく用意したドロップや薬品、興奮してテンパったままその存在を忘れて、全然使わないまま終わっていた。

この麒麟との戦いで得たものの数は、数え切れない。でも、一番大きかったのは、Pisaloチームのみなさんと、一丸となれたこと。今度発足する裏LSで行動を共にする人達だけに、どんな人達か気になっていたけど、本当にいい人ばかりで、思考も価値観も、とても似ている気がして、うれしかった。HNMをやりなれているだけあって、学ぶところばかりだった。自分たちも、手伝いとしてちゃんと貢献できるように、経験を積んでいかないとだめだ、と実感した。他人まかせな人が全然いないのが、本当に素晴らしいことだとおもった。Pisaloさんはすごい仲間を持っているなぁ、と感心した。しかし、この麒麟を2連戦しようとしていた、とは恐ろしい事だった、とみんなで笑ってしまった。突発的とはいえ、1戦でよかった。

戦い終わったばかりだけど、またやりたい!終わってからみんなで円陣を組んだ。いつもと違う、2重の円陣。頼れる仲間が増えた証拠である。消えそうもない熱い熱い戦いの余韻に浸りながら、今日のチョロ・ログアウト。(本当は、興奮冷めやらぬメンツ6名で「麒麟に勝ったんだから、何にても勝てるべ!」と、異様なテンションでウングルブーメランを取りに行って、抽選のワイバーンになぶり殺されてから、ログアウト・・・・)




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