第百三十四話:初対面・玄武の巻

とうとうこの日がやってきた。みんなで長い事かかって集めたチャレンジグッズを使い、空の専用フィールドにトレードすることで、NMがポップする。四聖獣と言われているNMだ。今回チャレンジグッズがそろい、挑む事となったのは、「玄武」という敵だった。4匹いる聖獣のなかでは最も戦いやすくて簡単に勝てる、と噂されているが、なんといっても始めての戦いであり、ミッションを進めないと行く事さえできないエリアでの戦闘でもあり、みんな興奮していた。

数日前から、LSメッセに、日時と時間が記され、その日に突撃することが決められていた。まだ空に行けなかったUluzは、ジラートミッションツアーに黙々と参加しつづけ、なんと当日には空に来れるようになっていた。毎日毎日競売を眺めては「あ、アダマン値上がりした」「あ、アダマン下がってきた」と一人つぶやいていたGatoは、当日、目の冷めるような青い青い鎧に身を固め、みんなの拍手を浴びていた。着実にレベルあげにいそしんでいたGyabanは、前日の深夜ギリギリに「74になったどーー!サポ忍空蝉2間に合った。貯金は0だがなーw」と声高に叫んでいた。

当日、23時集合だった会議室に、着々と人が集まってきた。先着18名で出発しようと思っていたが、23時の時点で既に19名だった。23時には間に合わないけど、もしも戦闘開始に間に合ったら、と空でログアウトをしていたBaphometをいれると、20名である。死亡者を入れ替える作戦でいこう、という事になり、一同空へ向かった。

Gato(ナイト75)Baphomet(忍者73)Hayato(戦士75)Gyaban(戦士74)Arliman(戦士75)Aoy(戦士72)Revan(侍75)Uluz(侍69)Venger(モンク72)Chisato(モンク74)Deku(シーフ75)Obsidian(狩人75)

Gapuel(白72)Assam(白74)Bibby(赤74)Quin(赤70)Tubasa(黒75)Porojr(吟遊73)Kujya(召喚72)Choro(黒72)

これが本日のメンバーである。こうやってみると、LBJも中々の戦力になってきたなぁ、と思った。

Vengerが先日、玄武討伐の手伝いに借り出され、様子をみてきていたので、おおまかな作戦を発表していた。基本はマラソンで、モンクは気孔弾、魔道士は精霊魔法2系まで、という作戦を聞き、みんな思い思いの質問をしながら全員の到着を待った。

ギリギリでBaphometが間に合い、LBJ総勢20名のアライアンスで挑む事となった。最初にPTに入れない2名を選抜し、侍ふたりのうちの一人と戦士を1名アラからはずし、WSをうつなり、だれか死亡するなりすると交代する、という事になった。1回経験のあるVengerが交代要員を誘う役目を引き受けてくれて、迅速なPT入れ替えを行おう、と話し合った。

おおまかな作戦もきまり、あとはTPを貯めて専用フィールドへ行こう!となり、黄色いワープの前のツボでTPためをした。全員が300貯まったら、いざ、みんなで専用フィールドへワープした。

ひろ〜〜い!とても広いエリアだった。その真ん中にポツンと???がある。調べると方角を示したメッセージが流れる。ここで間違いないらしい。盾役は、フィールドをかけまわり、マラソンルートを確認したり、後衛の休憩場所を探したり、毒消しの配布をしたりして準備をした。

常に勝った事しか考えないLBJは、ドロップアイテムがEXRAREであるため、先にランダムで誰が取るかを決めることとなった。終わってからではテンパって、流れたら大変!といういつもどおりの取らぬ狸のなんとやら、である。

ドロップする確率のあるアイテムを全てドロップしたと想像して、ランダム大会をし、チョロは玄武盾、というのがでたらもらえる事となった。回避のあがる盾で、今持っているフェアリーシールドよりはかなりよさそうである。黒が盾を持てない時代は終わったのか・・・と少し感じた。性能的には、別のNMがドロップする、アストラルアスピスなるもののほうがいいのだけど、こんな貴重な敵が落とす物だし、貰っておいて損はない!というか、死ぬ確率が少しでも減るかも、と思い、うれしかった。

ランダム大会も終わり、準備が整い、さぁ!トレード、という段階で気づいた。チャレンジグッズを持っているのはチョロだ。トレードする=最初に敵にタゲられる、のでは・・・・。???を目前にしてチョロはつぶやいた。

C「イヤダ・・・チョロやだ・・。トレドすんのイヤダ・・」
B「ガトさんを信じて!」
P「すぐタゲとってもらえるから・・・」

色んな言葉が飛んだけど、遠征軍で即死した記憶がよみがえり、万が一の事故が恐ろしくて、Porojrにグッズをトレードし、その役を代わって貰った。

後衛の立ち位置に走って行って振り返ると、ソイツはいた。デカイーーー!!山のようである!遠くにいるのに、めちゃくちゃでかいっ!!!とりあえず、作戦通り、精霊2系を打ちに、走っていった。

見た目はカメ・・・・カメ・・・?クウダフは雷だけど、これもそうなのかなぁ・・・とかボンヤリ考えながら、Gapuelから借りているアイススタッフを持っているし、と思い、ブリザド2とサンダー2を交互に撃ってみた。どっちも2ケタ程度のダメージしかでない。これでいいのか・・・・?Vengerは「モンクの気孔弾が600くらいダメでて、すぐタゲとってしまってやばい」と言っていた。とすると、精霊魔法のコレはちょっとヘボすぎるのでは・・・?

そう思いながらも攻撃と回復を続けていたら、一緒に戦っている黒魔道士、Tubasaも赤魔道士Bibbyも似た感じのダメージを出している。こいつが固いのか・・・こんなもんなのかな。オドオドしながら走り回って気づいた。あれ・・・・・?マラソンって言ってたけど、普通に戦ってない・・・・?

誰かの声が聞こえる。

「ガチンコやん!これ!」
「マラソンは?」

なんだかガチンコでもだれも死んでないし・・・いけるのかなぁ?相手のHPは少しずつだけど確実に減っている。このままいけるのかなぁ・・・と思ったら!いきなりGatoさんのHPがガクンと減りだし、そして・・・・死んだ・・・・・・ヽ(´Д `;)ノ

Baphometが走り出す。一撃がめちゃくちゃ痛いらしく、攻撃を受けた人は、一気に瀕死になる。WSを放つ=死ぬ、という感じの図式がなりたっていて、侍コンビは死にながらPT交代を繰り返していた。前衛達は、TPをためてWSを打ち込んでは少し休憩し、盾役にタゲをうつす、という感じで行動している様子だ(遠くてハッキリ見えない)

2系を少しずつ打ち込んでいたチョロは作戦を思い出していた。

「半分すぎたら3系織り交ぜて」

半分・・・・・・・・・・・すぎてるなぁ。でもタゲとるのやばいしなぁ。次にWSのログが見えたら1回いってみようかな!そう思った時、

BibbyはブリザドVを唱えた。

というログが飛び込んできた。うお・・・自分ちょっとビビりすぎかな・・・チョロももうちょっと攻撃的にいこ・・・・・う・・・・・?

BibbyはGenbuに倒された・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・(´・ω・`)怖い・・・・・・・・・・・・・・

カメのくせにドスドス後衛の方にやってきて、ビビーがあっという間に死んでしまった。「暴走しました・・・」というビビーの声を聞きながら、内心「危なかった、これがなかったら2秒後にうつところだった・・・・」とホっとしながら、死者はキックして余ってる人を入れる、という作戦にしたがってBIbbyをキックし衰弱待ち中のGatoさんをPTに誘った。

前の方の戦いは、正直あまり見えていなかった。近くに見える玄武に魔法をうとうとしても、レンジ外のログが流れたりして、玄武のサイズの大きさとフィールドの広さに唖然としたりしたけど、とにかく遠方から魔法を撃って、ちょっとでもこっちむいた気配があったら、間をとりながらジっとする、を心がけた。

「もう勝てる!」そう確信したあたりから、積極的に魔法を打ち込むようにした。みんなが勝利を確信したのか、動きが活発になってきている。(=無茶しだしている)そして、TubasaのサンダーVがトドメとなり、玄武は力尽きた。

なにやらセリフをしゃべっていたけど、興奮して読めなかった。倒した時にPT外だったメンバーはログが見えなくて寂しい、と言っていた。そして、歓喜の叫び声とともに、玄武は崩れ落ちたのだ。

LBJ、初四聖獣!勝利であるっ!一番簡単、って言われているとはいえ、本当に緊張して、そして楽しかった。そして注目のドロップは

海霊の免罪符
玄武盾
玄武兜
玄武印章
北極の風
土のクリスタル

なるものがドロップした。チョロがもらえる予定となっていたものがドロップしたのだ。そして、海霊の免罪符、というのはHPをMPに大きく変換する、という、タルタルには危険なゼニス装備という後衛の装備に必要らしく、これはGapuelがもらえる物となっていた。Gapuelは白ガルカなので、本当に欲しい装備の一つであるらしい。この間も怨念洞でMPが増えてケアル回復量もアップする片手棍を手に入れていたGapuelは、これでもうちょっとブーストしたくらいのタルタルのMPなんて、軽く越える最大MPを持つガルカとなったのだ!

玄武印章、というのは、さらに強敵に挑む為のアイテムらしく、Porojrの金庫圧迫アイテムとなった。北極の風、というのは謎の投擲武器で、適当にロットして誰かがとっていた(記憶なし)玄武兜というのは、クインがランダムに勝っていたので、クインがもらうことになった。

チョロの貰った盾は、回避が+10になり、被物理ダメージが下がるものだった。ちょっとくらい殴られても大丈夫になったかな?と思ったが、装備レベルが74からなので、まだ装備できなかった・・・(´・ω・`)

みんなは初めてだったから、このドロップを見ても、なんとも思っていなかった。きっと「俺の(私の)欲しかった免罪符がでなかったな」とか「劇毒サソリでなかった・・・」とか不満の方が多かったのだとおもう・・・が!経験者Venger曰く、これは「全て出た神ドロップ」らしい。盾や兜は100%ドロップなのかと思っていたが、そうではないらしい。挑戦するのに、準備と手間もかかるのに、さらにハズレドロップがあるのか・・・とビックリしたが、初対戦初勝利が、神ドロップでうれしかった。

普段はすでに夢の中、の時間のつばさがその場で即落ちし、仕事から帰ってすぐログインし、まだ上着も脱いでいなかったBaphometがお風呂に入りに行き、限界が近いと感じたBibbyがほどなくしてログアウトした。そして残った元気なメンバーで、もう一度挑戦できるように空のNMを倒しにいった。

Baphometの戻ったフルアラの状態でFaustを発見し、今日こそ倒す!と意気込んで対戦した。結果、勝てたことは勝てたが、フラッフラの瀕死、あわや全滅、という局面まで追い込まれた。ぶっちゃけ、玄武よりきつかった。あいつは相変わらず、LBJに向いていない敵である。でも、やっとこさ夏石を手に入れた。

このままの勢いでUllikummiも発見し、撃破。前回でたストアTPの武器は出なかったが、2つめの秋石を手に入れた。そろそろ眠い人が出だした状態で、最後のMother Globeに挑む事となったが、移動に思いのほか手間取り、そして、前回の釣りはDekuの奇跡の神釣りだったことが判明し、釣りの時点で何名かの死者がでて、衰弱待ちとかで、かなりグダグダになってしまった。結局からまれた状態で戦闘がはじまり、半分くらいまでしか削れず、今回のMother Globeは敗退となった。

今日の目的は玄武だったから!!!とみんなで言い訳を言い合って、「今日は玄武に勝てて大成功だねっ!」と捨て台詞を吐きながら空を後にして、今日の戦いは終わった。

玄武、みんなが欲しい物を出してくれる相手。という感じだった。挑戦アイテムを集めるのが大変だけど、玄武自体には、また勝てる気がする。むしろアイテムを集めるのが大変に思えた・・・。でも、みんなの装備の強化はLSの強化であり、みんなが強化されたら、新たな敵に挑めたり、今まで既存の作戦でしか勝てなかった相手に、独自の方法でまた勝てるかもしれない。

またコツコツチャレンジグッズを集めに行って、今度は違う四聖獣にも挑んでみたい!と思った。
74になったら装備できる玄武盾を収納に押し込んで、今日のチョロ・ログアウト。




前へ
戻る
次へ