第百二十八話:激闘・フェンリル

とうとう新しい召喚獣・フェンリルが実装された。新しい召喚獣が実装されるのは、バージョンアップ報告にのっていて、LBJの召喚士・Kujyaは今回のパッチをとても楽しみにしていた。

今までの試練みたいにけっこう簡単に取れちゃって、そして弱い・・・のか、めっちゃ取得が厳しくて強いか、どっちだろうね〜と話していたけど、結果は後者だった。巷の噂では75のPTでも苦労する、という事だった。

LBJではまずKujyaがサマナーズギルド、という召喚士のLSで召喚士6名でアッサリとフェンリルを撃破したとのこと。召喚獣を倒すのは召喚士、ということなのだろうか・・?そして、戦士のHayatoが次にクリアして、その後、ノラPTで苦戦していたAssamも涙の勝利をもぎとり、色々と強さ等の情報をくれた。

フェンリルは通常攻撃もさることながら、非常にやっかいな履行(敵が使うからこの場合はアビ、なのかな?)を使ってくるらしい。かけてある強化魔法を全部消された、という話も聞いた。ナイトが盾をすると、75でも簡単に殺されてしまう、というナイト達の切実な嘆きも聞こえてきていた。忍者の盾で、攻撃を食らわない方向で倒さないと、まともに攻撃を受けていたら、とてもじゃないけど回復が追いつかないらしいのだ。

そんな話を聞きながら、最初、ヒマなメンバーでチャレンジしてみたのだけど、戦う、という以前の作戦ミスで、突入1分もしないうちに撤退することとなった。そして後日、有志でもう一度チャレンジすることとなったのだった。

集まった有志は
Baphomet  忍/戦72
Obsidian   狩/忍74
Deku     シ/忍75
Gapuel    白/召72
Porojr    吟/侍73
Choro    黒/白72

というメンバーだった。巷の噂では、グラビデをかけてマラソンし、その間精霊攻撃などで削る、という作戦も聞いていたけど、この構成、長期戦には向いていない。やられる前にやっちまえ、という短期必殺PTが出来上がったのだった。

Deku以外初体験で、Dekuが経験したときは、全然違う構成だった、とのことで、みんな思いつく限りの薬を持って、いざ決戦の日となった。そしてチョロ達はフェンリルの恐ろしさに息を呑むこととなるのであった。

まず、敵の使うルナーロアというアビ。一定の範囲にいる味方の強化魔法を全部消してしまう。シグ以外すべて、である。リレイズも食事も、プロシェルも、そして頼みの綱の空蝉も、である。

突入し、Baphometの空蝉で避けながら順調に削る物の、このアビが来た途端、体勢が崩れてわらわらと死者がでて、撤退するハメになってしまう。後1mmっていうところまで削れた回もあったのに、その1mmが体勢の崩れた状態ではとても削らせてもらえないのがフェンリルなのである。

フェンリル会場であるホルトトの満月の泉前には、今から入る人、負けて撤退してきた人、死体になって放り出された人で溢れかえっていた。

毎回惜しいところまでいっては、撤退となって次の日にリベンジをかける日々が続いた。友達の赤魔道士は「もう20連敗です(´・ω・`)」と泣いていた。それほど、フェンリル戦は、運と構成が大事な厳しい戦闘だった。友人のナイト達はみな自信を失い、ナイトなのにみんなを守れない・・・と本当に悔しそうだった。

ナイト盾が向いている敵もいれば、忍盾がいい敵もいる、とわかってはいるけど、「盾ジョブ」として作られた筈のナイトが「プレイヤーの工夫で盾ジョブになっただけで元々は違う」はずの忍者に盾として及ばない敵がいる、というのは、きっと悲しいものなのだろうなぁ、と思った。

作戦は進化し、最初に前衛はイカロスウイングでTPのある状態で臨む、という作戦でやっていたので、1日1回が限度だった。そして、三日目、トータル対戦回数は5回くらいに及んでいただろうか。
いい加減勝ちたい!という気持ちがメンバーのなかで膨れ上がっていた。そして、この日もイカロスを食べて臨んだ戦闘で、ルナーロアの対処時にまたもや体勢が崩れて撤退してしまった。

でも、出てからレイズでおきてみると、TPが残っていた。まるでカムラ戦のようである。「フェンリルでTPためてきた」状態だったのである。っていうか、むしろイカロスよりもTPはあった。

これは・・・・・これはリベンジしかない!ここで、メンバーはもう一度綿密に作戦会議をした。盾が死ぬとまず勝てない。そして盾が死ぬ時は、圧倒的にルナーロア後が多い。今まではルナーロアがきたら、まずプロの張りなおしをしていた。プロテアだと時間もMPもかさむから、プロテスにしたり、と作戦を練っていたが、それでもやはり事故はあった。これをやめよう!という事になった。そして、「勝てたらきっと記録タイム更新作戦」が始まった。

・ルナーロアのあとは、魔道士は強化の張りなおしはおいといて、Baphometの空蝉張り直しが落ち着くまではケアルシャワーで彼のHPを保つ事を心がける。

・最初の連携が終わったら、Obsidianはころあいを見計らってアレ→アレ→アレの3コンボを放って、そしてきっと散る・・・・Obsidianが散ったらチョロも散れ。

・その後は各自できるだけのダメージをあたえて、あとは祈る・・・・

このカンペキな作戦で、一同は「これでダメならもうやめる!」というくらいの気持ちで泉の中に潜っていった。

開幕連携で、かなり削れたが、思いのほかMBのダメがでて、思いっきりチョロがタゲを取ってしまった。でも、速攻Baphometが取り返してくれて事なきを得た。運良くルナーロアは連発せず、Dekuの騙しも成功しているのか、Baphometがちゃんとタゲを確保し、いい感じに戦えている。ルナーロアがきたけど、例の作戦で、見事に空蝉の張りなおしに成功。体勢は持ち直した。ころあいを見てGapuelが強化の張りなおしを行い、完全に体勢は復活した。
ここだ、とばかりにObsidianがアレ(乱れ)→アレ(サイド{スラッグだったかな・・・?})→アレ(イーグル)であっという間にHPが赤く染まり始める。最後のイーグルの前にObsidianは死んだかな、と思ったけど、Gapuelの光の速さのケアルXが滑り込み、見事に3コンボをかますことができた。Porojrのガル詩人ならではのスピリッツも炸裂し、ここでチョロも精霊全開でフェンリルに向かって詠唱した。

もうちょっと・・・・もうちょっと!というところでBaphometのHPバーが一気に0になった。何が起こったのヽ(´Д `;)ノと思ってテンパったが、チョット前のログに

「[微塵]アヒャーー(・∀・)スガーーーン[隠れ]」

の文字が・・・・。そして「うは・・・トドメさせてない」という悲痛なBaphometの声が聞こえる中、誰かがトドメをさして、そして狂犬病のフェンリルは崩れ落ちた。

今まではなんだったのか、というくらいの短い戦闘だった。案の定記録タイムを3分以上大幅更新していた。

苦労したぶん、感動も大きかった。何日もかけて挑んだ甲斐があった!崩れ始めたらモロすぎる、なんとも攻撃的なPTだったけどとうとうフェンリルに勝つことができた。

作戦を考えなくては勝てない強い敵と戦うのは楽しい。フェンリルとはこれからもクエアイテムや装備などを取るために何度も戦うことになるだろうけど、色々な構成でチャレンジしてみたい、と思った。

とりあえず、クエアイテムや装備はおいといて、フェンリルとの契約をもらった。GapuelとPorojrもフェンリルとの契約をしたみたいで、サルタバルタで出して遊んでいた。Gapuelは、みんなが「寝てしまったの・・・?」と思うくらい長い時間、フェンリルマクロのセリフを考えていた。
前衛たちは、装備品やクエアイテムを貰って、それぞれウレシそうにウィンダスをかけまわっていた。

おりしもイベント開始の日で、ウィンダスには祝福してくれているかのような桜が満開になっていた。ラ・パピヨンという意味不明の花火をゲッツして、今日のチョロ・ログアウト。

というわけで、またもや興奮してSSがありません・・・。勝った時のじゃなくてもいいから、誰か撮った人送って・・・・(´・ω・`)




前へ
戻る
次へ