第五十六話:意地っ張りなお年頃

ある日、Poroが遊んでいるのを横で見ていると、こんなLS会話が流れていた。

Poro  「昨日はみんなでデルクフミッションいったんでしょ?どうたった??」
メンバー「とれたよ〜〜。無事に^^」

そういえば、ランク3のみんなが、デルクフに行こうね、ってこの前話していたな〜と思って眺めていたら

P「あれ?コアラはいかなかったの?ランク3だけど」
とポロが発言した途端

「それはいっちゃだめ・・・・」
「触れてはいけない事に・・・」

と、なんだか、おかしい雰囲気。よくよく話を聞いてみると、みんなで行った中のKoaraだけが、着いてみたらミッション受けてませんでした、というオマヌケ状態だったらしい。他人が聞いたら笑い話なのだけれど、当の本人はたいそうヘコんでいるらしく、(マジヘコミ)ソロでミッションをクリアする、と行ってデルクフへいっているらしいのだ。

PoroとBibbyが一緒に行こうといっても、頑として聞かないKoara。自分が迷惑をかけた、と本気でへこんでいるらしい。そして、一緒に行ってもらうなんて、絶対できない、とソロで何度も挑戦しているらしいのだ。しかも、地図なし、である。

PoroとBibbyが偶然を装ってKoaraの所へ行き、一緒に行こうと誘っても、絶対に聞き入れないKoara。相当ヘコんでるんだな〜と画面のこっちから思っていた。

しばらくして、Poroと交代でログインしたチョロ、場所はジュノである。LSリストを見ると、コアラはまたクフィムにいて、死にまくりながらチャレンジしている様子だった。

なんとかならんもんかの・・・と思って歩いていたら、偶然Bibbyにバッタリ遭遇。二人で勝手にKoaraに追いついて無理やりPTを組もう、という事になった。だって、Koara一人では絶対にミッションはクリア出来ないのがわかっているから・・・。

BibbyとPTを組んだチョロはデルクフの塔に向かってダッシュ。その間にも、KoaraはLS会話で道を聞きながら、塔に入っていってしまった。

「追いつけるかな・・・」不安になりながら、塔に到着。LS会話で聞こえてくるKoaraの途中報告では、かなり先に進んでいる様子。でもこっちは二人!なんとか頑張って追いつこう!と猛然と進み始めた。その間、何度もKoaraをPTに誘うものの、一向にに入ろうとしなかった。

タルタルの赤&黒。HPは無いも同然。いくら楽な相手ばかりとはいえ、リンクしたら即死である。死んだら絶対追いつけないので、慎重に慎重に進んで行った。

その間にも、LS会話で

「コアラ〜〜。二人だと死んじゃうよ!一緒に行ってよ!」
「まってよ〜〜。お金稼ぎにきたのに〜〜」

等と言ってKoaraを説得するものの

K「え?二人共帰らないと危ないよ。」と聞く耳を持たない意地っ張りなKoara。
逃げるように先に進んで行くKoara。説得をやめないChoroとBibby。まるで子供のケンカである。

とうとう先にデルクフ中層まで行ったKoaraはその先の道をLSで質問していた。ちょうどそこでLSにはいってきたGyabanが、「え?一人で行ってるの?絶対逝くよ!!逝くってわかってて教えられないよ」という発言を残して、一緒に手伝ってくれる為に、塔に向かってきてくれる事になった。Gyabanはレベルがかなり高いので、敵にからまれないので、進むのも早いから追いつけるのである。

二人では限界ではないのか?というような恐ろしい道のりを恐々進んで行くChoroとBibby。中層の途中まで来た所で、Bibbyが動いた。

BibbyはKoaraを指差して見せた。

頑固なKoara、捕獲成功である。しかも、前後には巨人。四面楚歌の状態で捕獲したのである。

捕獲されてもしばらくはダダとこねていたKoaraだけど、しばらくすると、降参してPTに入った。

K「はいはい、わかりました」

照れ隠しなのか、ふくれているのか、そんな言葉を発してKoaraは捕獲された。そして、「これ日記に書くの?」と聞いてきた。その時点ではそんな事は考えていなかったChoroは、本気でへこんでいた事もわかっていたので、「イヤだろうし、書かないよ〜〜」と言うと、「書いていいよ・・・もう降参w」と、敗北宣言をしてくれた。

その後、Gyabanが合流し、無事に上層を歩く事が出来て、Koaraのミッションは終了した。(というか、ChoroとBibbyだけで、Koaraに追いついても・・・・・クリアは出来なかったかも・・・・。そのくらい上層は怖い場所だった)

お世話になるのをこんなにイヤがったKoara。普段は寝落ちばっかりしているけど、こんなにかたくなな一面もあるのだな〜と意外だった。全ての行動は、自分だけの利益しかない(と、思っている)冒険に、他人を巻き込みたくない、という気持ちから来ている行動だろうし、何回死んでも、助けを求めずに挑戦する姿はある意味頼もしかった。

何かを手に入れる為、クリアする為に、他人の金魚のフンばっかりでいる人だっている。チョロだって、そうやって手に入れたアイテムがある。それは、とっても効率がよくて、珍しい物を誰よりも早く持つ事が出来て、すごく優越感なのかもしれないけど、経験値を何千単位で減らしながらでも、自力でチャレンジする、という今日のKoaraの意地っぱりな行動は、とってもカッコいい行動じゃあないのかな?とちょっと感動した。

でも、仲間なんだから、少しは頼って欲しいな、とも思ったりした。クフィムの塔をでてから、ボソっと「ありがとう」と言ったKoaraがなんだか可愛かった。

Koaraのミッションも無事に終わり、ゴブの落としたお金でちょっと裕福になって、満足感いっぱいで、今日のチョロ、ログアウト。




前へ
戻る
次へ