第百十八話:天空への挑戦:後編

残るは後1PTである。しかし、インビンは使用済、時間ももう2時をすぎていた。キリュウは明日仕事である。でも、キリュウは「ここまで来たら次も勝つ!」と言ってくれた。無理してくれているのは、わかっていたけど、その言葉に甘えてしまった。

Kiryu・Hayato・Tokiwa・Porojr・Bibby・ChoroのPTである。サポ白がないポロとケアルがVまでしか使えないチョロが同じPTになってはいけないよね、と家で話していたのに、結局同じPTになってしまった。Bibbyへの負担が大きいのは、最初の挑戦と同じ、という事になってしまったのである。でも、今回はキリュウがナイトだし、Tokiwaのサポも赤である。できるだけのことをして、悔いない戦いをしたい、と思った。

インビン回復までTPためをする。全員300%貯まってから、しばらくシリトリなどした後、インビンが回復。最後の戦いに突撃した。

入った直後、ハヤトが敵のWSをくらって、いきなり死亡。これはいかん、と慌てて撤退。薬はまだ全然使ってないけど。TPが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

全員300%だと、最初に一気にガバっと減らせる。これはすごく有効なのだけど、いまからまた300%貯めていたら、また時間がかかる。明日仕事のキリュウに、もう一度300%ためようとはとても言えない。そして、100%だけ貯めて挑もう、という事になった。

勝っても負けてもこれで最後。第三PTの戦いが始まった。

TPがないから、当然最初には削れない。そして、いつもは真ん中で戦うのに、何故かTPための時のように階段で戦ってしまっている。ハヤトがヨコダマをしにくそうに、ウロウロしている。真ん中に移動しつつ、ジワジワ削る。アクアを飲み続けるものの、ジワジワMPが減っていく。コアラから借りたバーミリオに着替えるチョロ。敵対心マイナスがなくなるので、ヘイトリセットが来たら、AFに着替え、落ち着いたらまたバーミリオに。言葉もないまま、必死の戦闘が続いていた。その時、Bibbyにタゲが張り付いたその一瞬でWSがはなたれ、Bibbyが死んでしまった。

「リレない」

リレイズを消されているという意味だ。レイズを詠唱開始したその瞬間、突然Bibbyが起き上がった。リレイズは発動に少し間があるから、ないと思っただけだったらしい。これは助かった!!!

その後、Bibbyは消されたプロの張りなおしや弱体をメインに衰弱の間を過ごしていた。一度だけ離れていたBibbyがヘイトリセットから漏れてしまい、ヒヤっとしたが、さすが、Bibbyはその間なにもせずに耐え、タゲを戻す事に成功した。そして、衰弱が治り、MPも落ち着いてきて、持ち直したかと思った瞬間、またもやBibbyが敵にやれれてしまった。

今度は間違いなくリレイズはない。でも、キリュウのHPも満タンだったし、トキワのMPもあったので、「耐えて!」と叫んで、チョロはビビーの蘇生を行った。

もうフラフラだった。風車をくらってハイポを飲もうとしたら、もうなくなっていた。MPももう2桁である。でも、直前にポロのソウルボイスが発動していたので、MPはグングン戻っていた。ケアルを唱えてアクアを飲んで、また1回分のMPがたまる、というギリギリの状況だった。

B「衰弱治ったらコンバがあるから耐えて!!」

ビビーの声が聞こえてきた。そうか、それまで耐えきれたら・・・。敵のHPは、もう1mmもあるかないか、だった。でも、MPが今度こそ、もうなかった。

今しかない。チョロは魔力の泉を使った。ケアルガを使おう、と思ったら、いきなりサイレガ。泉にサイレガって・・・・・・。慌ててやまびこを飲んで、必死で回復する。もうちょっと。もうちょっとで衰弱が治るはず・・・!

そう思ったら、またサイレガをくらってしまった。やまびこを!!!!

やまびこを使うモーションの最中。チョロは固まった。ま、まさか・・・こんな時に回線落ちなの?????ヽ(´Д `;)ノ

そう思ったチョロが見たのは、「や・・・・・やった・・・・」というトキワの声とみんなの歓喜の叫び声だった。

固まったと思ったのは、敵が死んだからだった。少しの間信じられなかった。呆然としていた。何度目の挑戦だったのか、もうわからない。勝てたんだな、と思ったのは、イベントも見終わって、外に出て、応援組のナルっちに「出ておいて、出たトコで待っているから」と言われ、アオイやギャバンの顔を見たときだった。

長い長い戦いだった。色んな意味で。キリュウは明日仕事なのに、時間はもう5時近かった。

N「とりあえず、キリュはんを飛ばしてあげなさい」

なるっちに言われて、ハっとした。

C「帝国ホテル・プリンセススイート >>>>> Kiryu 」

キリュウをデジョンUで飛ばして、何度も何度もお礼を言った。キリュウが今日いくつの経験値をロストしたのか、数えるのも怖かった。でも、キリュウは笑っていた「それが仕事だから」と言っていた。こうして、夕方5時から始まった挑戦は12時間もの時間をかけて、無事コンプリートとなった。

本当に本当に感動した。ゲームのイベントも興味深いものだったし、新しいエリアにいけるのもウレシイけど、なにより全員で協力して、全員クリアできたのが、すごくうれしかった。

薬を持って、何度も何度も塔に登った事。オルデールに何度もツル狩りに行った事。ハゲをレベルあげに連れて行こうとしたら、回線落ちて行けなかった事。最後の天空挑戦権獲得メンバーのナルっちのアリBCで、楽勝だと思っていたのに、ずいぶん苦戦したこと。レンブロワにこもって、アクアムスルムをしぼりまくったこと。ハイエーテルとスーパーエーテルの詠唱時間実験で愕然とした事。補充薬品を持って塔に登ろうとしたら、クフィム前にAoyがいて、「クフィムでヨコダマの練習に付き合って・・」と言われて、驚いて笑った事。付け焼刃の練習だったのに、Aoyはちゃんとヨコダマできた事。第一PTが勝利した時の感動。色んな思い出が一気によみがえってきて、泣きそうになった。っていうか少し泣いた。

最初のメンバーで何度も敗戦したことも含めて、この天空へのチャレンジは、とてもたくさんの思い出がつまった、忘れられないミッションとなった。

これからも、みんなで協力して、色んな物を乗り越えていきたい!心からそう思って、今日のチョロ・ログアウト。




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