第百十二話:可能性へのチャレンジ

強くなった、強くなった、と騒がれ、妬まれ、嫉妬の対象になりかねない勢いの最近の赤魔道士。便利になった分、自由度が減ったようにも見えるけど、その強化された事を最大に楽しみ、そして可能性にチャレンジする人物がここにいた。

赤魔道士・Bibby。本日の主人公である。

Bibbyが前々から、絶対やってやる、と公言していたのが「ソロ・闇王撃破」
LSメンバーのKoaraが持つ、「クラーケンクラブ」があれば、ソロで闇王に勝てるのではないのか、という事で、いつかやってやる、と言っていたのである。

そんな折、とあるHPの日記で、レベル70の赤魔道士が、片手剣で闇王にソロで勝った、という報告があった。時間は30分ギリギリかかった、という事が書いてあった。その戦いぶりを参考に、とうとうBibby(レベル65)は、タコ足(クラーケンクラブ)を片手に、闇王に挑む事になったのだ!

間近のアリーナ席は定員5名。Koara、Tokiwa、Hayato、Deku、Choroがその席を獲得し、6名はスヴァール城へ向かった。

さすがに緊張の面持ちのBibby。悩みぬいたあげく決めた装備は、

クラーケンクラブ(片手棍)
ダークバックラー(盾)
ムーンアミュレット(首)
バットケープ(背)
ライフベルト(腰)
ファランクスリング(指)
フェンサーリング(指)
ドローンイヤリング×2(耳)
AF一式

という物だった。あと、予備装備として、バットピアス、薬品は暗闇薬とハイポーション16、エーテル9、スーパーエーテル1(もらい物)、アクアムスルス1ダース、ヤグードドリンク1、ミスラ風海の幸串焼き1本をカバンに入れてきた様子。

そして、いざ闇王との戦いが始まったのだ!

ブレイズズパイク、エンファイア、ファランクス、リフレシュをかけて、パライズで戦闘開始。ギャラリー達は、思い思いに写真を撮ったり、王座の上から応援したりしていた。

余裕・・・・・・・・・・・・・・・・?そう思った。開始して、なんの不安もないまま、闇王の体力は半分まで削れて行った。ガ系魔法が少し痛いくらいで、かなり順調に削れている。途中、SS撮影に夢中になりすぎたKoaraが、ガ系魔法をくらって死亡する、という事件がおきたが、まぁ、放置・・・・・・( ´,_ゝ`)

余裕そうに見えても、その戦闘状況はすさまじい物だった。アイスパの麻痺が痛いため、すぐにディスペル。相手の攻撃間隔の合間にストンスキン。これが出来るのは、ファストキャストのある、赤こそ、の技。そして、そろそろMPが尽きる・・・というころ、Bibbyがバインドを唱えた。

Bibbyのコンバート!という文字と、Shadow Lordはバインドをレジストした。という文字はほぼ同時だった。

アッとおもった。まさかのコンバ死にしてしまう!そう思ったけど、闇王は奇跡的にアイスパを
唱え、Bibbyはとっさに連続魔を使用し、すぐに体制は立て直った。

そしてとうとう、物理無効状態になってしまった。レベル70で倒した情報を参考にしたのか、エン系魔法のダメージで削っていくBibby。ジョブ専用指輪の効果で、21ずつ削っていく。そして、ここで、とうとうMPが乏しくなり、とうとうピンチに陥ってしまった。

アイスパの麻痺で、ハイポが消し飛び、パラナが詠唱中断されてしまう。どんどん減っていくBibbyのHP。ハイポとエーテルをガブ飲みするものの、ストンスキンが唱えられず、闇王の攻撃を食らいまくっている。

「がんばれーーーーー!!!」

みんなここで始めて、声がでた。それまでは、あまりの壮絶な戦いに、みんな固唾をのんで見守っていて、声も出ない状態だったのだ。

そして、とうとう麻痺にやられたまま・・・・・・・・・・・・・・・・

Shadow Lordは、蹴り飛ばしを実行。→Bibbyに276のダメージ

BibbyはShadow Lordに倒された・・・・・・・・・・・・。

うわぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁん!ヽ(´Д `;)ノBibbyがふっとんだ〜〜〜〜!!
しかし、泣いてる場合ではない。脱出しないと。

戦闘が始まる前に言われたことだった。Bibbyが死んだら、エスケプで逃げて、と。クリアしてしまっては、リベンジチャンスが遠のくから、と。終わる時は負けるとき、BibbyはHPに戻ります、と・・・・・・・・・・・・・・・

みんな、Bibbyの死体を眺めながら、泣きながらエスケプした。

負けてしまったけど、感動だった。あんな壮絶な戦いは、初めてみた。闇王のBGMとたった一人で立ち向かうBibbyの姿が、最高にマッチしていた。「LSで実況するね〜〜」なんて言ってたチョロだったけど、そんな事は頭から消し飛ぶほど、息をつかせぬ、激しい戦いだった。

Bibbyの戦いに、とっても感動して、今日のチョロ・ログアウト。


と、終わると思ったら大間違いなのだーーーーーーーーーーーーーーー!!!!

いあいあ、まぁ、その日はログアウトしたけども、Bibbyは、負けてしまった戦闘で、確かな手ごたえを感じていた。そして、次の日、リベンジを決行したのだ。

Bibbyは言った。反省点がたくさんある、と。
◎リフレをかけるの忘れていた・・・・
◎コンバートの前に女神の印を使うのも忘れていた・・・。
◎タコ足のダメログが速すぎて、闇王が何をしているのか、の行動のログが流れが速くて見逃してしまう。ので、攻撃ログはフィルターをかける。
◎アイスパの麻痺をくらったら、自分にパラナの前にディスペルをすべきだ。
◎ストンスキンはとても重要。こまめにかけ直す。
等など・・・

傍目には落ち着いて戦っているように見えたBibbyだけど、やはりかなりテンパっていたらしい。後から過去ログを見ると、ああすれば、こうすれば、という事がたくさんあった様子。そして、それらを落ち着いてやれば、いけるっ!!!という事だった。

そして、リベンジは決行された。アリーナ席獲得は、Porojr、Aoy、Revan、Lennon、Choroだった。Bibbyの装備は首装備がスパイダートルクに変わっただけで、他は全てそのままだった。

今回は、前回の失態が繰り返されないよう、見学者の注意点も決めた。SSを撮るのはいいけど、ガ系魔法をくらってしまうと、ダメージが分散してしまって、Bibbyの手助けになってしまうので、最初に何枚か撮ったら、すぐに離れて絶対に範囲をくらわない場所で見学する事、というものだった。勝利にケチがついてはいけないので、絶対守ろう、という事で、Bibbyのリベンジは始まった。

前回と同じく、補助魔法をかけて、パライズで戦闘開始。

前回と比べてみて、差を感じたのは、まず落ち着いている、というはもちろん、魔法をたくさん詠唱している、という点だった。魔法というのは、相手にかける弱体及び、自分への強化魔法である。タコ足は、魔法詠唱と殴りを、ほぼ同時に行ってくれる、とても優秀な武器なので、見た目には殴りまくりながら、詠唱しているように見えるけど、タイミングを誤ると、もちろん魔法詠唱は止まってしまう。

特にストンスキンは、しつこいくらいかけ直しを行い、闇王からのダメージは、ほとんど0で進行していた。回復も、ケアルUを使うくらい余裕があり、闇王のHPは見る見る削れていった。

そして、問題の物理無効状態になった。今回はバインドもレジられず、先に連続魔を使用し、女神の印も忘れず、あっという間に見事コンバートに成功。そして、順調にエン系ダメージで削って行く。フェンサーリングの効果のために、自分のHPは黄色に保ち、TPが貯まったらすぐにWSを放つ。物理無効では、WSは効果なし、なのだけど、それは仕方ない。

驚くほど落ち着いていた。闇王のサンダガU詠唱に、即反応して、バサンダを唱え、ダメージを2ケタに抑えたり、見ていて感嘆するほどの落ち着きぶりだった。昨日と比べて、驚くほどMPに余裕がある。これほど差がでるとは・・・経験と慣れ、というのはすごいものだ、と思った。

そして、危なげないまま、とうとう第一形態撃破!!緊張の第二形態へと突入した。

全員ダッシュで台座に登り、奇跡の瞬間を見届けるべく、見つめ続けた。あまりしゃべる者もなく、みんな食い入るように眺めていた。

チョロが闇王を倒した時、狩人Obsidianの強烈3段攻撃で、一瞬で沈んでしまったので、闇王の第二形態の攻撃を、こんなにマジマジと見るのは初めてだった。

範囲攻撃のみの、大ダメージ。それでも、闇王のHPの減り方は、第一形態よりも、明らかに早い。HPが少なくなっているのと、やわらかくなっているのが、ハッキリと見て取れた。Bibbyは落ち着いて殴り続け、スロウなどの弱体魔法も織り交ぜながら、落ち着いていた。

そして、奇跡の瞬間は訪れた。開始から15分45秒。

S h a d o w   L o r d は B i b b y に 倒 さ れ た 。

やったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!(`・ω・´)

とうとうやったのであるっ!!!赤魔道士レベル65、Bibby。奇跡を実現したタルタル。敗戦にもめげず、反省点を絞り込み、とうとう勝利したのだ。今回は薬品の使用は0、という快挙だった。

本当に感動した。その辺の下手なアクション映画より、よっぽど興奮した。

あの壮絶な戦いを、文字でどのくらい表現出来ているか、不安である。でも、やっぱりあのすごさは、この目でみないと伝わらない。もし、自分が今、同じ赤65で、タコ足を装備していたとしても、闇王に勝てるとは思えない。敵のアビへの反応。魔法詠唱のタイミング。MP調整、どれを取っても、「Bibby」が勝ち取った勝利だった。「赤魔道士」は強いかもしれない。でも「赤魔道士」だから、勝てたんじゃなくて、「Bibby」だったから、勝てたんだ。本当にそう感じる戦いぶりだった。

感激に酔いしれたチョロリポーターの、突撃インタビューによる、Bibbyの一言は・・・

B「タコ足ないと、勝てないねw」

まぁ、Bibbyらしい、クールなコメントだけど、65で勝つには、たしかにそうかもしれない。あの、すさまじい連続攻撃はたしかにすごいものだ。超レアアイテムを使ってこその勝利かもしれないけど、それでもそれを使いこなし、やり遂げたBibbyに、みんな惜しみない拍手と賛辞を投げかけた。

世紀の瞬間に立ち会えたう喜びにひたりながら、今日のチョロ・ログアウト。




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